2014年9月29日月曜日

日本人リーガプレイヤーからみる日本選手の課題

先日、久しぶりにリーガの試合をメスタージャに観に行きました。

というのも、唯一のリーガ・エスパニョール日本人プレイヤーである、ハーフナー・マイク選手を見てみたかったからです。


さて注目のハーフナー・マイク選手ですが、スタメンでの出場ではなく、後半60分からの出場となりました。対戦相手が、好調を維持しているバレンシアCFということもあって、チームとしてかなり差が見られました。しかし、その中でも一緒に観戦していたスペインサッカーに挑戦している日本人選手A君の初期の現象(課題)と重なる部分が多く見られたので、それについて今回は書いてみたいと思います。

その課題とは、大きく言うと「守備戦術理解」。
まず、ハーフナー選手が出場した時の状況を整理します。
コルドバのシステムは1-4-4-2(ハーフナー選手投入でシステム変更)、バレンシアは1-4-2-3-1、バレンシアにボールを保持される状況が長い、出場時は負けていた、コルドバは自陣に引いて守備をするという戦術をとっているという状況でした。

上記の状況を考えると、勝っている相手のDFは無理をして前に出てこないため、コルドバのFWはそこまで高い位置は取れないまでも、4人のDFに対して、2人のFWで連動しパスコースを限定していく必要があります。

そんな中、ハーフナー選手は途中出場かつ、前4試合に得点できていないという焦りもあったのか、単独で4人のDFにプレッシャーを掛けに行き、簡単に剥がされてしまいます。また、本来プレッシャーをかけていく高さ(チームが整っていない)でない状況でもプレッシャーに行き、簡単に剥がされてしまっていました。守備の際に居なければいない場所、居て欲しい場所が分からず、迷子のようになっていました。


実はこの状況は、ハーフナー選手に限ったことではなく、スペインに挑戦するサッカー選手のほとんどが陥る状況です。前述した今スペインに挑戦している若手選手A君(若手有望株)も最初は、守備の際にどこに居ていいか分からず、ボール奪取に何の役にも立たず、本人も「守備の方法が分からないので、ボールが取れません」と言っていたほどでした。彼も迷子になっていたのです。ただ、チームで約半年間トレーニングを続けることで、守備戦術もボーダーラインに来るまでにはなり、チームに迷惑をかける心配はなくなりました。

しかし、半年という期間はプロの選手にとっては致命的です。更に、海外に助っ人として来ていて、半年結果を出せないのであればトッププロ(プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ等)の世界では不要とされるでしょう。

実際、4試合得点出来ていないということもあるのか、味方からの信頼を得られてないようで、確実にハーフナー選手にボールが出せるマークの状況で、出し手の顔も上がり、身体も向いているのにロングパスを選択されず、サイドへのショートパスを選択されました。これも、スペインではかなり重要な要素で、味方からの信頼感がない場合は露骨にパスが来なくなります。

A君が「日本で頭が良くないとサッカーは出来ないと言われてもあまりピンとこなかったし、そこそこ出来てしまっていましたが、スペインに来て本当に頭が良くないとプレーが出来ないことが分かりました」という言葉が語るように、本当の意味で頭をつかうサッカー(戦術的状況を理解、分析、実行する力)を育成年代からトレーニングすることが、若い選手が世界トップレベルでプレーをし、日本が世界で戦える国となる一つの道になるのではないかと、今回の試合を観て、改めて考えさせられました。

2014年9月22日月曜日

2014-2015シーズン 開幕戦

昨日、遂に2014-2015シーズンが開幕しました。

報告が遅れましたが、今シーズンはJuvenil C(ユースカテゴリーのU-16チーム)で第二監督と、Alevin D(U-10)で第一監督を担当することになりました。

去年と担当カテゴリーの大きな変化はありませんが、U-16はU-18の選手たちを相手に昇格が目標で、U-10はまだリーグが開幕していないので対戦相手が分かりませんが、素質から見て上位争いに入ることが目標になってくると思います。
今年こそは目に見えた形で何かを残したいと思っているので、気合入れて自分の出来る限りのちょっと上を目指していきたいと思います。

さて、ユースカテゴリーの方ですが、6週間のプレシーズンを終え、遂にリーグが開幕です。

対戦相手は去年苦しめられた古豪クラブです。ただ、相手のリーグ前最終戦をスカウティングに行き、第一監督のヘスースと分析した結果、攻撃時は、相手は引いてカウンターでなかなかスペースを空けてくれないが、攻守の切替でライン間にスペースが空くのでそこに早くボールを運んで前に進んでいくこと、システムのミスマッチを狙っていくということになりました。


(試合前にコーナーキックの攻撃と守備の形を確認中)

さて、試合は開けれみれば、予想と少し違うスタート。相手はワントップを残して、自陣でスペースを消してくるからと思いきや、前からハイプレッシャー。連動がしっかりしていないので、上手く外せることもあるのですが、予想していなかったこともあり、我々も少しアタフタ。しかし、そこはコチラも手がないわけではないので、MFを一枚後ろ目に下げて中継地点を増やし対応します。そうしているうちに相手もいつもどおりの戦術に変更してきたので、こちらは想定通りに対応。落ち着きを取り戻します。

そこから1点を奪い取り、5つの決定的な場面を外しながらも相手のシュートを3本に抑え、無事に勝利しました。(残り10分でウチの第一監督が退場したので、高校生カテゴリー初監督デビューw)

初戦なので思い通りにいかないことも多々あり、修正点もかなり多く見られましたが、波乱の可能性の高い初戦を無事に収めれたことは評価できると思います。

これからはフィジカルで押してくるチームや、スタイルが似たようなチームなど、様々なチームと対戦することになると思いますが、監督陣はきっちりと相手を分析し、それをトレーニングに落とし、選手たちが少しでも楽に試合を運べるようにしてあげたいと思います。

やっぱり、リーグ戦のピリピリ感となんとも言えない高揚感にはゾクゾクします。

その後、私は第3節に戦う相手のスカウティングに向かいました。

(スカイティング中。この試合では今年昇格チームが去年上位チームを倒し波乱を起こしました)

サッカー三昧の週末があと9ヶ月続きます。

2014年8月26日火曜日

大宮アルディージャ バレンシア遠征

いよいよ、バレンシアサッカー生活も4シーズン目に突入し、それと同時に大宮アルディージャU-15のバレンシア遠征に帯同しました。

今回のバレンシア遠征は、アルボラヤUDとコラボレーションしてトーナメントを作り、そこに強豪チームを招待するという形で行いました。

参加チームは、バレンシア、ビジャレアル、ウラカンバレンシア、アルボラヤとバレンシア州の強豪、ひいてはスペイン国内で有名なチームばかり。しかも、シーズン前ということで、お遊びチームではなく、きっちりと各クラブがU-15年代のトップチームを派遣してくれました。
進め方は、2日間のトーナメントで、1日目は2グループ3チームづつに別れ、各グループ総当りで順位を決め、2日目はその順位で決勝トーナメントに挑みます。

さて、大宮アルディージャU-15。予選はバレンシア、アルボラヤBと対戦し、初戦バレンシアに0-2で敗戦、アルボラヤBに1-0で勝利し、予選リーグを2位で通過しました。
バレンシア戦
 アルボラヤB戦

そして、2日目の決勝リーグ初戦は、強豪ビジャレアルと!!
スペインのチームはシーズン前でチームが仕上がっていないとはいえ、育成年代のビジャレアルはスペイン国内でも超強豪と言われるチーム。そのビジャレアルと対戦し、世界での自分たちの立ち位置を知るにはもってこいの相手。



試合は、前半早々に失点、追加点も取られ前半を0−2で終了。
ただ、前日バレンシアに負け、自分たちの足りないところを監督に指摘をされていたこともあり、選手たちは奮起!後半怒涛の攻撃で、2点を取り返し同点でPKへ。
PKは3本勝負で、2本目を大宮アルディージャGKが止め、3−2で勝利!!!

決勝は予選で負けたバレンシア!!
リベンジを誓います。

遂にやってきた決勝バレンシア戦!!!
否が応でも気合が入ります。(私もアテンドながらバレンシアには負けたくない!!)



前半、アルディージャは高いテクニックを活かして、ポゼッション率を高めることで、相手陣地へとじわじわと侵入していきます。しかし、相手も一度戦った経験を活かしてキープレーヤーをいち早く潰すことでそれを許さず、切替でカウンターアタックを狙ってきます。
そんな中、自陣でボールを失い、そこからバレンシアがゴール。切替の速さを活かしたゴールを決められてしまいます。
しかし、アルディージャも最後の一分まで頭を下げずに戦い、後半最後2分のところで、右サイドから崩し、そこから中に切り込みシュート!!惜しくも左ゴールポストをかすめ万事休す。0-1で破れ、準優勝という結果となりました。


初のバレンシア遠征でありながら、その存在感を見せつけた大宮アルディージャ。
トーナメント開催クラブのアルボラヤUD関係者も口をそろえて、良いチームだ。テクニックのレベルが高い。と賞賛の声を上げていました。

今回、親善試合ではなく、クラブと連携してトーナメントを作るという事にチャレンジしましたが、親善試合よりもインテンシティが高く、お互いが勝ちに拘ることによって限界を超えた何かが生まれたように感じたので、日本のチームが来られる際の一つの大きなオプションになるなと感じました。

やはり、サッカーは真剣勝負の中でしか成長しないですからね。

私も今回のアテンドを通して、日本サッカー、スペインサッカーの違いを自分の目を通して認識することが出来、とても有意義な時間を過ごせました。

大宮アルディージャの関係者の皆様、本当に有難うございました。

2014年7月7日月曜日

サッカーアメリカ代表の躍進から学ぶもの

ワールドカップもベスト4が出揃い、あと4試合を残すのみとなりました。
ベスト4には前評判の高かった4カ国(しかもヨーロッパ2ヶ国、南米2ヶ国)が出揃い、まだまだ楽しみな試合が目白押しです。

そんな中、昨日、監督学校の友達に偶然ばったり道で会い、時間があったので一緒にお茶をしながら、思い出話やワールドカップについて話をしていました。
彼は、アメリカで指導者として2年間働いた経験があり、アメリカ代表のベスト16入りをとても喜んでいたのですが、そこからアメリカの指導方法と考え方の話に移り、とても興味深い話へと発展しました。

まずは、何故アメリカ代表が近年コンスタントにワールドカップで成績を残してきているのかについてから話が始まりました。
彼曰く、小さなクラブであっても彼らはいいものをすぐに取り入れる環境があり、それに対して投資する環境が揃っているということ、またシステムの重要性を知っているので、あるものを取り入れた際に、そのシステムを取り巻く更に大きなシステムの事を考え、取り入れることが出来るとのことでした。
例えば、指導者をただ招くのではなく、ディレクターから指導者、運営まできっちりと体系的にまとめ上げ、またそれをいちクラブで実行するだけではなく、もっと大きなシステムとしてつくり上げているということです。そして、そこに関わるステークホルダーが有益であると思えば小さな単位であってもすぐに事は動き出すようです。

私も大学院時代にアメリカの経営方法等について少し学んでいたこともあり、この考え方はしっくり来ました。

アメリカは優劣がはっきりとした国で、企業は稼げるかどうか、株主に配当が出るか、株価を上げられるかで経営は判断されます。もちろんその経営システムには一長一短あるのですが、長期短期でプランニングと実行が出来るトップがいる場合には、とても上手く機能します。経営者は、良いものは良い、悪いものは悪いと客観的に判断され、常に評価に晒されているということもあり、変化、進化は必須条件となります。環境変化に対応して企業も変化をしなければならないということです。

これがアメリカの経済の強さの一つであり、Google, Facebookなど、短期で世界的な企業へと上り詰めることが出来るアメリカ経済の基礎となる考え方になると思います(もちろんリーマン・ショックの時のように弱さともなりえますが)。

上記のことを考えると、サッカーにおいても経営者含め、スポーツディレクター、指導者も現状を分析し、良いと思われる新しいものを取り入れなければならない環境にあると言えると思います。常に評価に晒され、進化を強いられる環境だということです。
これは、サッカーにおいて非常に重要でそれ自体(進化すること)がサッカーだと言えると思います。
私が聞いたのはただ一例なので勿論アメリカ全土がそうではないと思います。ただ、彼らは良い物を見つけることを強いられているため、更に進化することの出来る可能性を持っているのは事実ですし、もしそこに向けて動き出す際には、直接金融における経営的な素養が高いのも事実です。

もちろん、アメリカでサッカーは4,5位のスポーツですが、サッカーの競技人口は日本を大きく上回るため、その点においてそもそもポテンシャルを持っているということも一つの要因になるとは思います。

上記の事を考えると、これからのアメリカサッカーについては十分注意を払って見守らなければならないと思っています。彼らはお金になると思った時には莫大な金額を動かしてでも強引に進める力を持っているのでそれも見守りたいところです。


では、上記の理解から日本に何が出来るのか、という部分については金融の成り立ちも違い、サッカーにおける考え方も違うので一概には言えませんが、サッカーにおける本質(計画、実行、評価→進化)という部分をどう体系化した大きなシステムとして成り立たせていくのかは考える必要があります。

そこで重要なのは評価という部分だと個人的には思っています。というのが、日本の現状とスペイン、アメリカの現状を比べてみると、やはり足りないなと思うのは、どういった団体、クラブ、指導者が評価されるのかという部分。(例:①全国に毎年出場するが、プロが一人も出ないクラブ、②全国には出れないが世界で戦えるプロが3年に一度は出るクラブ、③全国もプロも出ないが、所属選手は全員大人になってもサッカーを続けているクラブ、あなたならどのクラブを良しとしますか? →もし評価軸を持っていなければ、どれも良しとできません。評価軸によってはどれも正解となりえますし、どれも不正解になり得るのです。もちろん全てを達成できれば素晴らしいクラブです。)

大学院時代の恩師の言葉で、「人は誰でも、与えられた評価制度の下で最大の評価を得るべく行動する」という言葉があるのですが、この考えを基にすると、まずは動きやすい単位である各クラブ、各団体がどういった指導者が評価に値するのかを明確にし、また同時にその評価の結果について評価者自身が責任を持つ制度を作り上げ、それを毎年内外部からの刺激を入れつつ見直し、進化させていく必要があるのではないかと思います。
それがたとえ小さなクラブでも実現できれば、きっといい選手は生まれてくるはずだと思うので、小さなクラブであっても大きなうねりへとなっていくのではないかと期待しています。

今回は、今までの指導者寄りの目線よりも一つ上の俯瞰したところから、アメリカ代表の躍進の一つの要因を掘り下げ、日本が学ぶべきものを取り出してみました。

かなりの長文駄文失礼いたしました。
最後まで読んで頂いた皆様、ありがとうございました。

ご意見お待ちしております。

2014年6月30日月曜日

2013-2014シーズン終了

今日をもって2013-2013シーズンが全て終わりました。
後は指導者学校の追試を残すのみです。

今季は、初の高校生年代の第二監督、U-8の第一監督という初づくしで、胃が痛くなることも有りましたが、高校生はリーグ2位、昇格プレーオフ一回戦敗退、U-8は16チーム中13チームが一学年上の中で10位という成績でした。
また、U-8の方は指導者学校との兼ね合いもあり、なかなか試合を率いることが出来ず、それが原因でなかなかトレーニングが上手く構築できないというフラストレーションにも悩まされた一年でもありました。

更に、指導者学校のレベル2も受講していたので、かなりハードな一年だったなという感想です。ただ、コレこそが求めていたものだし、きっと外に出たからこそ得られた経験だとも思っています。

さて、来季2014-2015シーズンですが、高校生年代1年生の第二監督、U-9 or U-8の第一監督となりました。構成としては、今年と一緒です。ただ、選手はぜんぜん違うので違った一年に成ることでしょう。

来年受け持つ高校生年代は今シーズン中学生年代のトップチームの選手が半分、新入生が半分といった構成になっています。クラブから彼らを良く知るためにと新メンバー(U-15)でトーナメントを戦って来ることを言われ、高校生年代のトーナメントにすでに参加してきました。
グループリーグを3連勝1位で通過し、準決勝U19のチームを相手(今年のJuvenil Bで対戦したチームで、半数以上が試合に出場。その際は0−2、0−1で2連敗)に3−1で勝利。
そして、決勝はマドリッドから来たそちらでは有名なチームのU-16(レアルマドリッド、アトレティコ、ヘタフェの後ろにつけるようなチーム)。
かなりインテンシティの高い試合を闘いぬき、1−1でPK戦へ。
お互い2本決め、2本外して迎えた5本目、先行の相手チームのシュートをGKが最高の反応で止め、そのGKが5本目を決めて勝利。U-15で参加したU-19の大会で優勝してしまいました。彼らの強みは別の機会に話すこととしますが、本当に強いチームです。



シーズン最後の試合を最高の形で終われ、また来シーズンを最高の形で始めれそうなので、嬉しい限りです。

これから少し時間ができるので今期をまとめる意味でも色々と書いていきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

2014年4月15日火曜日

チームのモチベーションビデオを作りました

久々の投稿になりますが、先日の上位対決のために作ったモチベーションビデオを公開したいと思います。

実は、この試合は負けてしまったので、封印しようかと思いましたが、プレーオフ2枠を狙っている他のライバルチームも下位チームに負けてくれ、プレーオフ枠内に残れるという奇跡が起こったので、限定公開ということで公開を決めました。











まだプレーオフ進出確定まで3試合を残していますが、全勝で通過し、プレーオフも勝ちきり、昇格を手に入れたいと思います!!!!!