2014年7月7日月曜日

サッカーアメリカ代表の躍進から学ぶもの

ワールドカップもベスト4が出揃い、あと4試合を残すのみとなりました。
ベスト4には前評判の高かった4カ国(しかもヨーロッパ2ヶ国、南米2ヶ国)が出揃い、まだまだ楽しみな試合が目白押しです。

そんな中、昨日、監督学校の友達に偶然ばったり道で会い、時間があったので一緒にお茶をしながら、思い出話やワールドカップについて話をしていました。
彼は、アメリカで指導者として2年間働いた経験があり、アメリカ代表のベスト16入りをとても喜んでいたのですが、そこからアメリカの指導方法と考え方の話に移り、とても興味深い話へと発展しました。

まずは、何故アメリカ代表が近年コンスタントにワールドカップで成績を残してきているのかについてから話が始まりました。
彼曰く、小さなクラブであっても彼らはいいものをすぐに取り入れる環境があり、それに対して投資する環境が揃っているということ、またシステムの重要性を知っているので、あるものを取り入れた際に、そのシステムを取り巻く更に大きなシステムの事を考え、取り入れることが出来るとのことでした。
例えば、指導者をただ招くのではなく、ディレクターから指導者、運営まできっちりと体系的にまとめ上げ、またそれをいちクラブで実行するだけではなく、もっと大きなシステムとしてつくり上げているということです。そして、そこに関わるステークホルダーが有益であると思えば小さな単位であってもすぐに事は動き出すようです。

私も大学院時代にアメリカの経営方法等について少し学んでいたこともあり、この考え方はしっくり来ました。

アメリカは優劣がはっきりとした国で、企業は稼げるかどうか、株主に配当が出るか、株価を上げられるかで経営は判断されます。もちろんその経営システムには一長一短あるのですが、長期短期でプランニングと実行が出来るトップがいる場合には、とても上手く機能します。経営者は、良いものは良い、悪いものは悪いと客観的に判断され、常に評価に晒されているということもあり、変化、進化は必須条件となります。環境変化に対応して企業も変化をしなければならないということです。

これがアメリカの経済の強さの一つであり、Google, Facebookなど、短期で世界的な企業へと上り詰めることが出来るアメリカ経済の基礎となる考え方になると思います(もちろんリーマン・ショックの時のように弱さともなりえますが)。

上記のことを考えると、サッカーにおいても経営者含め、スポーツディレクター、指導者も現状を分析し、良いと思われる新しいものを取り入れなければならない環境にあると言えると思います。常に評価に晒され、進化を強いられる環境だということです。
これは、サッカーにおいて非常に重要でそれ自体(進化すること)がサッカーだと言えると思います。
私が聞いたのはただ一例なので勿論アメリカ全土がそうではないと思います。ただ、彼らは良い物を見つけることを強いられているため、更に進化することの出来る可能性を持っているのは事実ですし、もしそこに向けて動き出す際には、直接金融における経営的な素養が高いのも事実です。

もちろん、アメリカでサッカーは4,5位のスポーツですが、サッカーの競技人口は日本を大きく上回るため、その点においてそもそもポテンシャルを持っているということも一つの要因になるとは思います。

上記の事を考えると、これからのアメリカサッカーについては十分注意を払って見守らなければならないと思っています。彼らはお金になると思った時には莫大な金額を動かしてでも強引に進める力を持っているのでそれも見守りたいところです。


では、上記の理解から日本に何が出来るのか、という部分については金融の成り立ちも違い、サッカーにおける考え方も違うので一概には言えませんが、サッカーにおける本質(計画、実行、評価→進化)という部分をどう体系化した大きなシステムとして成り立たせていくのかは考える必要があります。

そこで重要なのは評価という部分だと個人的には思っています。というのが、日本の現状とスペイン、アメリカの現状を比べてみると、やはり足りないなと思うのは、どういった団体、クラブ、指導者が評価されるのかという部分。(例:①全国に毎年出場するが、プロが一人も出ないクラブ、②全国には出れないが世界で戦えるプロが3年に一度は出るクラブ、③全国もプロも出ないが、所属選手は全員大人になってもサッカーを続けているクラブ、あなたならどのクラブを良しとしますか? →もし評価軸を持っていなければ、どれも良しとできません。評価軸によってはどれも正解となりえますし、どれも不正解になり得るのです。もちろん全てを達成できれば素晴らしいクラブです。)

大学院時代の恩師の言葉で、「人は誰でも、与えられた評価制度の下で最大の評価を得るべく行動する」という言葉があるのですが、この考えを基にすると、まずは動きやすい単位である各クラブ、各団体がどういった指導者が評価に値するのかを明確にし、また同時にその評価の結果について評価者自身が責任を持つ制度を作り上げ、それを毎年内外部からの刺激を入れつつ見直し、進化させていく必要があるのではないかと思います。
それがたとえ小さなクラブでも実現できれば、きっといい選手は生まれてくるはずだと思うので、小さなクラブであっても大きなうねりへとなっていくのではないかと期待しています。

今回は、今までの指導者寄りの目線よりも一つ上の俯瞰したところから、アメリカ代表の躍進の一つの要因を掘り下げ、日本が学ぶべきものを取り出してみました。

かなりの長文駄文失礼いたしました。
最後まで読んで頂いた皆様、ありがとうございました。

ご意見お待ちしております。