2015年4月17日金曜日

U14日本チームのアテンドを終えて

3月末から4月頭にかけて日本のU14のチームのアテンドをさせていただきました。
今回は、会社の人間が一丸となって、先方と時間をかけて選手の経験を最優先に考え、遠征を練ってきたため、普通の遠征とは一味違うものとなったと思います。

今回我々がオーガナイズ側として新しく挑戦した事は、バス移動は長距離移動以外減らして、出来るだけ個別行動を増やし、スペイン人の生活様式に近づけること。
1.小グループに分かれての現地チームとの合同練習
2.2人組でのホームステイ(選手たちにはトレーニングの時間だけを伝えてホームステイ先から合流クラブに自分達だけで行ってもらいました:リスクはコントロールしています)

バスで移動し、すべてオーガナイズされた中で親善試合をする。

間違いないこれも経験になると思います。
ただ、そこに私は何故スペインなのか?何故海外なのか?という所が深く掘り下げられていないように感じており、以前から選手たちが自分たち自身で見て、聞いて、嗅いで、肌で感じてという遠征をしたいと思っていました。



大人がコントロール出来る危険であれば子供達に体験させていいのではないか、海外で生活することは楽しいことだけじゃないし、本当のスペインを知って欲しい。それでもしスペインを嫌いになってしまっても、それだって経験だと思えるし、それでこそ自分の言葉で本当の経験を語ることができるようになる、という思いでオーガナイズさせて頂きました。

正直、今回の遠征は以前よりも3倍近くのエネルギーと時間を使いました。個別行動になることにより、連絡先も増え、説明の回数も増え、リスク管理するべき事柄も増え、もちろんクレームも増えました。ただ遠征が終わって心から言えるのは、この遠征は間違いじゃなかったということ。


その理由は2つ。
1.短期間にも拘らず、選手の変化が目に見えて分かったこと
(変化する選手、しない選手の違いが明確に分かりました:一言で言うと『琢磨しさ』)
2.選手の見えていなかった部分が見えたし、再確認できた
(チームの指導者から頂いた言葉で、試合のメンバーの組み方が変わるほどでした)

非日常、自分の想定していないことが起こる中に入ると、本当の自分が見えてきます。海外に出るということは想定外の連続でそれこそが人間力、胆力の試される場所に成るはずです。また、指導者側が注視しなければならないことです。問題が起こった時に、誰かに頼るのか、自分で解決しようとするのか、質問するにしてもどんな質問の仕方をしてくるのか、事前にイメージができているのか、日常のトレーニングだけでは見られない部分がたくさん出てくるからこそ意味があると思うのです。



今は、情報が溢れて何が正しくて、何が間違いっているかを自分で判断しなければならない時代。自分の目で見て、聞いて、嗅いで、肌で感じたことは紛いもない本物。それを若くして経験できることは将来の財産に成るはずです。

なかなか出来ない海外遠征だからこそ、その効果を最大限に引き出し、選手の可能性を引き出す事ができるよう、我々もプログラムを進化させていきたいと思います。

2015年4月9日木曜日

監督をシーズン途中から引き受けるということ

途中からU11の監督を引き受けてから2ヶ月が経ちました。
上位対決を僅差で落とし、現在は4位に位置づけています。

さて、今回は途中から監督としてチームを率いることになり、気をつけていること、気がついたことを書いていきたいと思います。

まず、就任1週目にしたことは、選手を徹底的に分析すること。
技術レベル、戦術理解度、性格、フィジカルを数値化し、当時のポジションを鑑み、それがチームとしてどう機能しているのかを確認しました。
そこから、前任の監督の今までのトレーニングを確認し、これからの予定を立てます。

ただ、ここで気にしなければならないのが、就任2週間は選手からの信頼が無いということです。更に、私は彼らにとって外国人なので更に信頼が無いのは明白です。
信頼がなければ、この監督が勝たせてくれる監督なのか、自分を成長させてくれる監督なのか、選手たちもこちらを探り探りなので、トレーニングの精度、強度は下がります。

こそで必要なのが勝利です。

勝利をすることで選手の信頼を得ることが出来る。勿論、勝つことが全てじゃない。そう信じています。でも勝たなければいけないのです。それは、良いトレーニングをするため、残り少ないトレーニング期間を有意義にするために必要なことです(このメンタルはスペイン特有かもしれません)。

そこから導き出した答えは、守備戦術の徹底。
前任監督が採用していた1-3-2-2から1-3-3-1にシステムを変更し(相手も1-3-3-1)、中盤を厚く、守備陣系を整えやすいシステムにし、攻→守のプレッシャーのかけ方、相手がボールを保持している時の守備の優先順位を確認し、そこからボール奪取→速攻という流れを2週間で徹底的にトレーニングしました。
それにより、守備が落ち着き就任から2週間を2連勝で飾ることができ、選手の信頼を得ることに成功しました。



そこから、上位対決2連戦をFK1本でやられてしまいますが、選手たちには『守り切ることが出来る』という自信が付いたようで、私が守備の際に『Orden(整えろ)』という一言を発するだけで、守備陣系が整うようになってきました。

途中から監督を引き受けるという貴重な体験から得られたことは、自分の分析から得た答えを徹底してトップダウンで決め付けて、落としこむ方法もありだということ。
『この場面では、こう動いて、ここに立たなければならない。何故ならば、・・・』と、例外なくそれを実行しなければならない事を伝え、彼らの中に疑問が生じない様にしてあげます。
勿論、指導者としては他の選択肢があることも分かっているのですが、それを落としこむには時間がかかり、負けてしまってはその後の長期的トレーニングにさえ辿り着けない可能性(クビになる、選手の信頼を得られない)があるので、こういった方法を取り、とりあえず今のところ成功と言って良い成績を収めています。



1ヶ月半経った今は、再度残りの1ヶ月半の計画を立て直し、週末をきっちりと闘いながら、バランスの良いチーム、来シーズン(8人制→11人制)に向けて、選手がプレイしやすいようにトレーニングを考えていかなければなりません。

この経験がどう今後に役に立つかは分かりませんが、自分の中で一つ新しい指導メソッドを試すことが出来たのは大きな経験になりました。

残り1ヶ月半のシーズンを彼らと楽しみたいと思います!!