2016年4月10日日曜日

東急レイエスU15遠征を通して思うこと

久しぶりの投稿になります。

今年も3月末から4月頭にかけて遠征のコーディネートとアテンドをさせていただきました。
今回はそのことについて書いていきたいと思います。

この時期の遠征には個人的に思い入れが強く、毎年楽しみにしている遠征です。

その理由は一つ。

約1週間という短い期間ながら子供達の成長が手に取るように見えるから。
(その分、いつもの倍以上の時間が準備にかかるのも事実ですが 笑)

その構成は、
試合→地元チームへのトレーニング参加(4人組)+ホームステイ(2人組)→試合
その間に、僭越ながら私の試合分析、戦術講義などが入ってきます。

実際に活動するのは5日間ほどなので、その日程で効果が出るのかどうか疑わしいと思われるかもしれませんが、想像している以上にいい刺激になるのです。



この遠征の重要なテーマとして、サッカー三昧ではない、本当のスペインサッカーを体験してもらうということを考えています。食事、言葉、家族、風景、匂い、これらを感じる為に五感のすべてをフル稼働させて欲しいのです。なぜなら、その全てがスペインサッカーの構成要素であり、その中の一つでも欠けてしまえばスペインサッカーではなくなるからです。

東急レイエスU15の遠征では、事前にスペイン語講座も行い、去年の経験も積み重なって来ていることで、ホームステイ先では色々な文化の違いや食習慣の違いを大いに感じながらも、全員がそれなりに楽しい時間を過ごせたようです。



サービス提供者がこういったことを言うのは、正しいのかどうかわかりませんが、実は全員が楽しい時間を過ごせなくも良いと思っています。それも実際に来たから経験できるもので、実際に海外で生活することはそんなに簡単なことではないし、楽しいことばかりではありません。そういった中でも自己主張ができるか、どう自分を変えられるか、どう自分を適応させられるか、それがこれからの人生に大きく関わってくるのです。実際に海外にくれば、日本のように誰も十分なサービスを提供はしてくれません。それはサッカーにおいても同様なのです。




ある選手が、地元チームとのトレーニング後に言った次の言葉がそれを象徴していると思います。
「自分のチームだったらいるところに、こっちの選手はいない。だからやりにくい。」

この言葉を聞いた指導者はなんと反応すればいいでしょうか。
是非、みなさん考えてみてください。




また、毎年指導者へのアプローチも行わせていただいております。

それは、私が遠征コーディネートだけでなく、スペインで指導者としても活動しているためで、指導者の方に少し厳しい、口うるさい指摘をさせて頂くこともあります。それを受け入れるも受け入れないも自由です。でも、せっかく指導者がコーディネートしている遠征で、スペインと日本の指導者が揃っているのに指導者同士が意見交換をしないのは、まず指導者のあり方からして間違っていると思うので、色々とお話しさせて頂く方法をとらせていただきます。きっとそれが、指導者としての幅を広げ、世界で戦える指導者を育て、そして選手を育てることができるようになると信じているからです。




今回も東急レイエスU15の指導者の方々とは色々とお話しさせていただき、実際に試合中にスペインだったら、私だったらどうするだろうとか、どういったトレーニングをするだろうとか、色々と話をさせていただきました。また指導者の方の思想もお聞きでき、それがチームにどう浸透しているのかをトレーニング、試合を通して見ることができ、私も勉強させていただきました。




最後のレバンテの試合で、去年と同じ様なやられ方で失点してしまいました。
その時の指導者の方の言葉が印象的だったので、紹介させていただきます。

「去年と同じやられ方をしてしまった。成長してねぇなぁ。」

それでいいんだと思います。去年はもしかしたらその重要に感じていなかったのかもしれません、でも今年を経て、次に同じ様な攻撃をしてくるチームと当たれば、絶対に同じミスを繰り返すことはないと思います。(私もその対応について、どうしたら良かったかをアドバイスさせていただきました)
このように、指導者も少しずつ着実に積み上げることで、大きなことを成し遂げられるのだと思います。




長くなりましたが、最後に選手のみんな、指導者の皆様!!!
楽しい時間をありがとうございました!!!
また、いつかどこかで会えるのを楽しみにしています!!!!

2015年9月27日日曜日

残留を目指して戦うこと

今回は、我々が今年のユースリーグ2部で置かれている状況と、戦い方について少しお話できればと思います。

現在、我々は4節終わって、1敗3分で18チーム中14位で、降格ギリギリラインに位置しています。
去年は3部で優勝争いをすることを義務付けられてましたが、今年は2部で残留が目標。年間34試合を戦って、40ポイントを目安にポイントを積み重ねていかなければなりません。

去年とは全くと言っていいほど、選手の特徴は違いますし、80%の選手がクラブ外から来た寄せ集めのチームです。レベル的にも2部を戦うにはギリギリの選手たちで、2部の上位チームのセレクションを受け、漏れた選手たちが出場機会を求めて私達のクラブに来るといった状況です。

さてそんな状況の中、クラブから残留が目標と言い渡され、戦術、技術的に残留すらギリギリラインだとしたら、どうすればいいでしょうか?



我々は負けないチームを作ることを目指しました。
とにかく守備組織を徹底的につくり上げること。プレシーズンはほとんどの時間を守備戦術のトレーニングに費やしました。幸運なことに体の大きさだけは平均以上なので、そこを活かし、ボールを支配されながらも、相手を快適にプレーさせない、相手の特徴を徹底的に潰していくことを考えて組織を作り上げます。

攻撃は、ロングボールを中心に相手エリアに侵入します。しかし、ただロングボールを蹴るのではなく、例えばビルドアップ時には、ボランチの一人がDFラインに落ち、もう一人はボールサイドのサイドバックより少し高いぐらいの位置に、右サイドバックは高い位置をとり、左は足元中心で中間ポジション、サイドハーフの選手は中に入りインサイドへのパスを探りながらセカンドボールに対する数的優位を作り、攻撃的MFはライン間でセカンドボールを拾える位置に立ち、FWは相手の裏を取りに行く、と言った一連の決まり事を守りながら、ロングボールを使い、オーガナイズされた状態でセカンドボールを拾いに行きます。



ここ4試合、実力上位との対戦が続き、勝ち切れない試合が続いていますが、昨年までエリートとして勝つ試合を続けてきた選手が、この守備的な戦術をある程度理解し、表現できるまでやっと追いついてきたといった感じです。

支配率は相手が上で、引き分けが続いているものの選手たちの感触もよく、シュート数では我々が上回り、快適にプレーをさせていない点では、選手たちにも『これで行ける』という自信が芽生えてきているので、後は勝利というカンフル剤が整えば、チームとしてもう一つ上に向かえそうな雰囲気が出てきています。



2部且つ残留が目標という初めての体験を通して思うのは、毎週がヒリヒリするということ。実力が上位なら負けはしても残留を狙えるものの、我々のような下位のチームは勝点が計算出来ないので、どうやって毎試合1ポイントを削ぎ取ることが出来るか、そしてそれをどんな手を使って3ポイントにするかを毎日、毎週、毎週末、考え、考え、考えて、計画を立てており、1つの負けが降格に繋がるかもしれないと思うと、試合中に胃が出てきそうなくらい緊張します(クビも考えられるので。。。)。


(地元のおじさんたちが見に来てくれます)

そしてここで本当に感じるのは、サッカーはサッカーであって、ボールを繋ぐことだけがサッカーではないということ。勝つために現実的で理想的な方法を監督陣が考え抜き、それをトレーニングとして落とし込み、選手は試合で表現する。きっとサッカーはもっと多様で、面白いものだし、監督が勉強し考えぬいた結果の戦術であれば、誰にも批判されるようなものではないと思うのです。ロングボールだって良いじゃない、繋いでも、サイドアタックでも、4トップでも0トップでも良いじゃない。

自分自身、もっとサッカーの多様性を受け入れ、その可能性を楽しむことが大切だなと感じています。

来週こそは2部初勝利をもぎ取ってきます!!!!

2015年6月3日水曜日

来シーズンの去就

ご無沙汰しております。

ここバレンシアは6月に入り全てのカテゴリーのリーグが終了し、来シーズンに向けてのセレクションの時期になりました。

私の今シーズンの成績はというと、U11では監督として5位、またユースCチーム(3部所属)では第二監督として、Aチーム(1部所属)が2部に降格したため我々が昇格戦を戦えなかったものの、リーグで2位という成績を収めました。

さてさて、標題にあるように来シーズンの去就についてですが、3年半、スペインに着いた3日目からお世話になってきたアルボラヤUDを出て、私の第一監督スソとタベルネス-ブランケスというチームのユースAチーム(2部所属)を引き受けることになりました。

2部のLiga Nacionalは、我々2人にとって未知の体験ですし、3部とは違う次元のサッカーが待っていることと思います。しかも、バレンシアCF、ビジャレアルCF、レバンテUD、エルチェCF、エルクレスCFとプロクラブが対戦相手として名前を連ねることとなります。

正直、アルボラヤUDを出るということは苦渋の決断でした。
右も左もスペイン語も分からないアジア人を引き受けてくれ、更に去年からは第一監督を任せてくれ、家族の様に接してくれた仲間たちとの別れは非常に悩ましいものでした。

しかし、更に高みに登るため自分を試すためには一度外に出て、修行してくれるのもありだと思い、今回の決断に至りました。

今だにこの決断が正解かどうかという問いが頭の中によぎることもありますが、せっかくのチャンスなので最大限に利用し、楽しんでいきたいと思います。

さて、来季のために6月末から1ヶ月半近く日本に帰国します。
皆様にお会いできるのを楽しみにしております!!!

2015年4月17日金曜日

U14日本チームのアテンドを終えて

3月末から4月頭にかけて日本のU14のチームのアテンドをさせていただきました。
今回は、会社の人間が一丸となって、先方と時間をかけて選手の経験を最優先に考え、遠征を練ってきたため、普通の遠征とは一味違うものとなったと思います。

今回我々がオーガナイズ側として新しく挑戦した事は、バス移動は長距離移動以外減らして、出来るだけ個別行動を増やし、スペイン人の生活様式に近づけること。
1.小グループに分かれての現地チームとの合同練習
2.2人組でのホームステイ(選手たちにはトレーニングの時間だけを伝えてホームステイ先から合流クラブに自分達だけで行ってもらいました:リスクはコントロールしています)

バスで移動し、すべてオーガナイズされた中で親善試合をする。

間違いないこれも経験になると思います。
ただ、そこに私は何故スペインなのか?何故海外なのか?という所が深く掘り下げられていないように感じており、以前から選手たちが自分たち自身で見て、聞いて、嗅いで、肌で感じてという遠征をしたいと思っていました。



大人がコントロール出来る危険であれば子供達に体験させていいのではないか、海外で生活することは楽しいことだけじゃないし、本当のスペインを知って欲しい。それでもしスペインを嫌いになってしまっても、それだって経験だと思えるし、それでこそ自分の言葉で本当の経験を語ることができるようになる、という思いでオーガナイズさせて頂きました。

正直、今回の遠征は以前よりも3倍近くのエネルギーと時間を使いました。個別行動になることにより、連絡先も増え、説明の回数も増え、リスク管理するべき事柄も増え、もちろんクレームも増えました。ただ遠征が終わって心から言えるのは、この遠征は間違いじゃなかったということ。


その理由は2つ。
1.短期間にも拘らず、選手の変化が目に見えて分かったこと
(変化する選手、しない選手の違いが明確に分かりました:一言で言うと『琢磨しさ』)
2.選手の見えていなかった部分が見えたし、再確認できた
(チームの指導者から頂いた言葉で、試合のメンバーの組み方が変わるほどでした)

非日常、自分の想定していないことが起こる中に入ると、本当の自分が見えてきます。海外に出るということは想定外の連続でそれこそが人間力、胆力の試される場所に成るはずです。また、指導者側が注視しなければならないことです。問題が起こった時に、誰かに頼るのか、自分で解決しようとするのか、質問するにしてもどんな質問の仕方をしてくるのか、事前にイメージができているのか、日常のトレーニングだけでは見られない部分がたくさん出てくるからこそ意味があると思うのです。



今は、情報が溢れて何が正しくて、何が間違いっているかを自分で判断しなければならない時代。自分の目で見て、聞いて、嗅いで、肌で感じたことは紛いもない本物。それを若くして経験できることは将来の財産に成るはずです。

なかなか出来ない海外遠征だからこそ、その効果を最大限に引き出し、選手の可能性を引き出す事ができるよう、我々もプログラムを進化させていきたいと思います。

2015年4月9日木曜日

監督をシーズン途中から引き受けるということ

途中からU11の監督を引き受けてから2ヶ月が経ちました。
上位対決を僅差で落とし、現在は4位に位置づけています。

さて、今回は途中から監督としてチームを率いることになり、気をつけていること、気がついたことを書いていきたいと思います。

まず、就任1週目にしたことは、選手を徹底的に分析すること。
技術レベル、戦術理解度、性格、フィジカルを数値化し、当時のポジションを鑑み、それがチームとしてどう機能しているのかを確認しました。
そこから、前任の監督の今までのトレーニングを確認し、これからの予定を立てます。

ただ、ここで気にしなければならないのが、就任2週間は選手からの信頼が無いということです。更に、私は彼らにとって外国人なので更に信頼が無いのは明白です。
信頼がなければ、この監督が勝たせてくれる監督なのか、自分を成長させてくれる監督なのか、選手たちもこちらを探り探りなので、トレーニングの精度、強度は下がります。

こそで必要なのが勝利です。

勝利をすることで選手の信頼を得ることが出来る。勿論、勝つことが全てじゃない。そう信じています。でも勝たなければいけないのです。それは、良いトレーニングをするため、残り少ないトレーニング期間を有意義にするために必要なことです(このメンタルはスペイン特有かもしれません)。

そこから導き出した答えは、守備戦術の徹底。
前任監督が採用していた1-3-2-2から1-3-3-1にシステムを変更し(相手も1-3-3-1)、中盤を厚く、守備陣系を整えやすいシステムにし、攻→守のプレッシャーのかけ方、相手がボールを保持している時の守備の優先順位を確認し、そこからボール奪取→速攻という流れを2週間で徹底的にトレーニングしました。
それにより、守備が落ち着き就任から2週間を2連勝で飾ることができ、選手の信頼を得ることに成功しました。



そこから、上位対決2連戦をFK1本でやられてしまいますが、選手たちには『守り切ることが出来る』という自信が付いたようで、私が守備の際に『Orden(整えろ)』という一言を発するだけで、守備陣系が整うようになってきました。

途中から監督を引き受けるという貴重な体験から得られたことは、自分の分析から得た答えを徹底してトップダウンで決め付けて、落としこむ方法もありだということ。
『この場面では、こう動いて、ここに立たなければならない。何故ならば、・・・』と、例外なくそれを実行しなければならない事を伝え、彼らの中に疑問が生じない様にしてあげます。
勿論、指導者としては他の選択肢があることも分かっているのですが、それを落としこむには時間がかかり、負けてしまってはその後の長期的トレーニングにさえ辿り着けない可能性(クビになる、選手の信頼を得られない)があるので、こういった方法を取り、とりあえず今のところ成功と言って良い成績を収めています。



1ヶ月半経った今は、再度残りの1ヶ月半の計画を立て直し、週末をきっちりと闘いながら、バランスの良いチーム、来シーズン(8人制→11人制)に向けて、選手がプレイしやすいようにトレーニングを考えていかなければなりません。

この経験がどう今後に役に立つかは分かりませんが、自分の中で一つ新しい指導メソッドを試すことが出来たのは大きな経験になりました。

残り1ヶ月半のシーズンを彼らと楽しみたいと思います!!

2015年2月11日水曜日

ご報告

なかなかブログを書けないでいましたが、少し状況が変わって来たのでご報告させていただきたいと思います。


端的に言うと先日、U10の監督を解任されました。


そして、U11の監督に就任しました。

というのも、ユーストップチームの監督が解任になったと同時に、彼が兼任していたU11監督も辞職されたので、U11の監督が空きになり、なぜか分かりませんが私に監督就任の話が回ってきました。

正直、今のチームを9月からここまで作ってきて、成績も2位と高位置に付け、選手からの信頼も得られている中でチームを変える必要があるのか、またこのまま今の選手達とシーズンを最後まで戦いたいという気持ちがあったのも事実ですし、わざわざ知らないチームをシーズン途中から引き受けるメリットを感じられませんでした。

ではなぜ引き受けたのか、その理由は一つだけ。
多分、誰も引き受けないから(笑)。天邪鬼。。。

U11と言ってもCチームなので、今指導しているU10のBチームよりも選手の質から言えば落ちてしまいますし、前任のユーストップ監督と比べられるし、チーム事情も今のチームほど良くない為、私の立場であれば誰も引き受けないだろうなと思ったのが理由です。

何がともあれ、この経験はきっとどこかで役に立つだろうし、海外で監督をしている日本人の中でも(U11ですが)途中からチームを見る経験をした人は少ないのではないかとポジティブに残りのシーズンを新しい選手たちと過ごしていきます。
実際、クラブがこういった状況の時に、私に声をかけてくれた事自体も嬉しかったですし。

ということで、2月からU11の監督として活動することになりましたので、これからもどうぞ宜しくお願い致します。

2014年9月29日月曜日

日本人リーガプレイヤーからみる日本選手の課題

先日、久しぶりにリーガの試合をメスタージャに観に行きました。

というのも、唯一のリーガ・エスパニョール日本人プレイヤーである、ハーフナー・マイク選手を見てみたかったからです。


さて注目のハーフナー・マイク選手ですが、スタメンでの出場ではなく、後半60分からの出場となりました。対戦相手が、好調を維持しているバレンシアCFということもあって、チームとしてかなり差が見られました。しかし、その中でも一緒に観戦していたスペインサッカーに挑戦している日本人選手A君の初期の現象(課題)と重なる部分が多く見られたので、それについて今回は書いてみたいと思います。

その課題とは、大きく言うと「守備戦術理解」。
まず、ハーフナー選手が出場した時の状況を整理します。
コルドバのシステムは1-4-4-2(ハーフナー選手投入でシステム変更)、バレンシアは1-4-2-3-1、バレンシアにボールを保持される状況が長い、出場時は負けていた、コルドバは自陣に引いて守備をするという戦術をとっているという状況でした。

上記の状況を考えると、勝っている相手のDFは無理をして前に出てこないため、コルドバのFWはそこまで高い位置は取れないまでも、4人のDFに対して、2人のFWで連動しパスコースを限定していく必要があります。

そんな中、ハーフナー選手は途中出場かつ、前4試合に得点できていないという焦りもあったのか、単独で4人のDFにプレッシャーを掛けに行き、簡単に剥がされてしまいます。また、本来プレッシャーをかけていく高さ(チームが整っていない)でない状況でもプレッシャーに行き、簡単に剥がされてしまっていました。守備の際に居なければいない場所、居て欲しい場所が分からず、迷子のようになっていました。


実はこの状況は、ハーフナー選手に限ったことではなく、スペインに挑戦するサッカー選手のほとんどが陥る状況です。前述した今スペインに挑戦している若手選手A君(若手有望株)も最初は、守備の際にどこに居ていいか分からず、ボール奪取に何の役にも立たず、本人も「守備の方法が分からないので、ボールが取れません」と言っていたほどでした。彼も迷子になっていたのです。ただ、チームで約半年間トレーニングを続けることで、守備戦術もボーダーラインに来るまでにはなり、チームに迷惑をかける心配はなくなりました。

しかし、半年という期間はプロの選手にとっては致命的です。更に、海外に助っ人として来ていて、半年結果を出せないのであればトッププロ(プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ等)の世界では不要とされるでしょう。

実際、4試合得点出来ていないということもあるのか、味方からの信頼を得られてないようで、確実にハーフナー選手にボールが出せるマークの状況で、出し手の顔も上がり、身体も向いているのにロングパスを選択されず、サイドへのショートパスを選択されました。これも、スペインではかなり重要な要素で、味方からの信頼感がない場合は露骨にパスが来なくなります。

A君が「日本で頭が良くないとサッカーは出来ないと言われてもあまりピンとこなかったし、そこそこ出来てしまっていましたが、スペインに来て本当に頭が良くないとプレーが出来ないことが分かりました」という言葉が語るように、本当の意味で頭をつかうサッカー(戦術的状況を理解、分析、実行する力)を育成年代からトレーニングすることが、若い選手が世界トップレベルでプレーをし、日本が世界で戦える国となる一つの道になるのではないかと、今回の試合を観て、改めて考えさせられました。