2012年9月6日木曜日

松山でのクリニックの所感 -その1-

9月に入り日本滞在も後残り僅かとなりました。
拠点をバレンシアにおいてから初めての帰国だったので不思議な気持ちで日本滞在を皆様と過ごさせていただきました。
また、家族、仲間の温かい思いにも触れ、今年一年またスペインで頑張らなければと気持ちも新たに1年頑張ってこようと思います。本当に有難うございました。

さて、帰国中の7月はアルバイトをして日本円を稼ぎ、8月は帰省をし、高校の友人(専門が野球)が顧問を務める中学校でクリニックを行って来ました。
人生初のクリニックだったのですが、色々と発見があったので、これから3回の投稿に分けてそのクリニックについて書いて行きたいと思います。

クリニック日数は9日間、その間に試合が4試合入っており、実質トレーニングできたのは5日間。1,2年生大会が行われる期間だったので、なかなか難しい日程ではありましたが、とても有意義な時間となりました。

(中学校のグラウンド)

今回のクリニックを通して感じたことは、以下の3点。
1.トレーニングに対する姿勢
2.ボールを受けることに対する考え方
3.サッカーを観るということ

今回はまず、「1.トレーニングに対する姿勢」について書きたいと思います。

最初に誤解がないように説明しますが、これは彼らのトレーニング態度が悪いとかそういったことではないということです。
少しわざとらしく言葉にすると、トレーニングを「こなしている」と感じた部分が多かったということを意味しています。これは選手の心がけが悪いというだけではなく、トレーニングは「教えてもらうもの」という感覚が幼い頃から養われてしまっているのではないかと感じています。要はトレーニングの方法は理解するが、その本質を理解してトレーニングしているわけではないということです。

確かに日本人は、スペイン人に比べるとかなり真面目で、トレーニングに向かう姿勢、集中力は素晴らしいものがあり、それは誇るべき部分だということを今回再認識させてもらいました。

ただその反面、大人しすぎるというか、当事者感覚が無いというか、他人を気にし過ぎているというか、言葉にするのは難しいのですがそういった感覚を受けました。(もちろん、それが日本人の特性なんだからそれにフィットしたトレーニング方法論を構築しろと言われればそれまでなのですが、何でもそうだとは思うのですが、「〜過ぎ」は良くない方向へ作用すると私は考えています。)
彼らがトレーニングをしたくないという意思を持っているわけではないし、きっとトレーニングしたいと思っているのだろうけれどそれを表現できない、相手に伝えることが出来ない、また何を基礎にして練習に向かえばいいのか分からない、といった感じです。

今回のクリニックでは初日からそれらが見られたので、ちょっとした仕掛けをしてみました。
具体的にはトレーニングの説明をする時に、最初の何度かは必要なことをきちんと説明するが、それ以降は何点かわざと重要な設定項目や目標とするプレーの説明を抜いてみたりして、彼らに質問できる余地を残し、更にこちらから質問を浴びせるという形を取ってみました。

やはり最初はこちらから「何か質問ある?説明でわからないことある?」と質問してみても、ダンマリが続きましたが、しつこく質問を続けていると、日が経つにつれて徐々にトレーニングを頭の中でイメージして、それを頭の中で動かして、自分がどういったプレーするのかを考えるようになったようで、質問が1,2出てくるようになりました。期間は短かったのですが、こういった行動が見られたことはチームが良い方向へ変化する兆候だと感じています。順応能力の高さはさすが日本人!!と言ったところではないでしょうか。
私はここまでの変化しか見られていませんが、きっと引き継いだ顧問の先生がよりよいチームに変えていってくれることを信じています。

今回は「1.トレーニングに対する姿勢」について書かせていただきましたが、「トレーニングの方法は理解するが、その本質(5W1H)を理解していない」という現象はクリニックを行ったチームだけの問題ではなく、どのチームでも起こっているのではないかと考えています。
今回のクリニックで彼らが運良く1つの仕掛けで変われたように、指導者側の仕掛け一つで何か変わることもあると思うので、「しゃべれ!しゃべれ!!」と発破をかけるのもいいですが、指導者側も少し工夫することが必要なんだと感じた事柄でした。

次回は、「2.ボールを受けることに対する考え方」について書きたいと思います。

別件ですが、9日にバレンシアに戻ります!!
また新たなシーズンが始まるので、気合い入れて今年もリーグ優勝してきます!!!

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